問題と課題は何が違うのか?

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「問題」と「課題」を同じ意味で使っていませんか?

「自分の課題はスタートです」
「今シーズンの課題は筋力トレーニングです」

スポーツの現場では「課題」という言葉をよく使います。

私自身も日常的に使っていますし、意味が伝わっているのであれば細かな言葉遣いにこだわる必要はないのかもしれません。

それでも、トレーニングを考えるときには「問題」と「課題」を一度分けて考えてみることをおすすめします。

言葉遊びをしたいわけではありません。

両者を分けることで、

自分は何を変える必要があり、そのために何へ取り組むのか

が見えやすくなるからです。

なお、「問題」「課題」という言葉の定義は分野によって異なるため、
WILLINQでは、トレーニングを考えるために次のように整理します。

問題=目指す状態(目標)と現在地とのギャップ
課題=その問題を解決するために取り組むこと

この違いを、100mを例に考えてみます。

問題は「目指す状態と現在地のギャップ」

ある競技者が、

100mで10秒台を出したい

と考えているとします。

現在の自己ベストは11秒20です。

10秒台という目標に対して、現在は11秒20。

この目指す状態と現在地の間にある差が「問題」です。

目標と現在地があるから、問題が見える

ここで重要なのは、問題だけを考えないことです。
例えば「スタートが遅い」という状態も、何を目指しているのかによって意味が変わります。

だから先に、どこを目指すのか、いまはどこにいるのかを確認します。

その差が見えて初めて、

何が目標達成を妨げているのだろう?

と考えられるようになります。

100mで10秒台を目指しているのに現在は11秒20。

しかし、この0秒21以上の差が生まれている理由は一つとは限りません。

加速局面で十分に速度を高められていないのかもしれない。
最大速度そのものが低いのかもしれない。
後半の速度低下が大きいのかもしれない。

つまり、問題が分かっただけでは、まだ何に取り組めばいいかは決まりません。

課題は、その問題を解決するために取り組むこと

ここで必要になるのが、問題の原因を考えることです。

ビジネスの問題解決でも、問題を見つけたあとにすぐ解決策を決めるのではなく、

問題を定義する
→ 原因を整理する
→ 取り組むべき課題を設定する
→ 解決策を考える

という順序で考えることがあります。

トレーニングも同じです。

先ほどの競技者について分析した結果、10秒台に届かない要因の一つとして、

加速局面で十分に速度を高められていない

ことが見えてきたとします。

そこで、

加速局面のパフォーマンスを高める

という課題を設定する。

こうして問題とその原因を整理することで、何に取り組むべきかという「課題」が見えてきます。

問題と課題を分けると、次に取り組むことが見えてくる

整理すると、こうなります。

目標
100mで10秒台を出す

現在地
自己ベスト11秒20

問題
目標と現在地にギャップがある

原因を考える
加速局面で十分に速度を高められていない

課題
加速局面のパフォーマンスを高める

ここまで整理して初めて、

では、その課題に対して何をすればいいのか?

という話に進めます。

「課題」と「手段」も分けてみる

問題と課題だけではありません。

スポーツでは、課題と手段も混ざりやすいと思います。

「筋力トレーニングをする」は、課題ではない

例えば、

「いまの自分の課題は筋力トレーニングです」

という言葉。

日常会話として意味は通じるかもしれませんが、今回の整理では筋力トレーニングは課題ではなく手段です。

一度、

なぜ筋力トレーニングをするのか?

と問い直してみます。

加速局面のパフォーマンスを高めたい。

そのために、加速時に必要な力発揮を高めたい。

だから、その方法の一つとして筋力トレーニングを選ぶ。

こう整理すると、

課題=何に取り組むのか
狙い=その取り組みによって何を変えたいのか
手段=具体的に何をするのか

という違いが見えてきます。

例えば、

課題
加速局面のパフォーマンスを高める

狙い
加速に必要な力発揮を高める

手段
筋力トレーニングを行う

という関係です。

筋力トレーニングそのものが悪いわけではありません。

大切なのは、

「筋力トレーニングをやれば速くなるだろう」

ではなく、

「自分の課題を解決するために、この筋力トレーニングは適切な手段なのか」

と考えることです。

順番を変えると、トレーニングの見え方が変わる

ここまでを一つにつなげると、次のようになります。

実際のスポーツでは、これほど一直線に整理できないこともあります。

原因が複数あることもあれば、やってみなければ分からないこともあります。

それでも、この順番を頭に置いておくと、いきなり「何をやるか」から考えることを防ぎやすくなります。

以前の記事「そのトレーニングは、何のためにやっていますか。」でも、方法からではなく課題からトレーニングを考えることについて書きました。

今回の「問題」と「課題」の違いは、その考え方をもう一段整理するためのものです。

「何をやるか」の前に「何が問題か」を考える

SNSを見ればさまざまなトレーニング方法が出てきます。

「この筋力トレーニングをやってみよう」
「このドリルを取り入れてみよう」

そこから新しい方法を知ること自体は、悪いことではありません。

ただ、実際に自分のトレーニングへ取り入れる前に一度だけ立ち止まってみる。

自分は何を目指しているのか。

いま、どこにいるのか。

その差が生まれている原因は何なのか。

そこから課題を設定して、必要な手段を選ぶ。

問題と課題を分ける目的は、言葉を正しく使うことではありません。

「何のためにこれをやるのか」を、自分で考えられるようにすること。

そのための一つの整理の仕方です。

その課題は、どんな問題を解決するためのものですか?

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この記事を書いた人

WILLINQ JOURNAL編集部。

スポーツ指導、競技経験、人材育成の実務経験をもとに、スポーツとの向き合い方、Will、目的と手段、学びについて発信しています。

答えを急ぐのではなく、問い、迷い、経験し、振り返る。
その過程で、自分なりのWillを育てていくためのきっかけを届けます。

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