練習日誌、書くことが目的になっていませんか?
練習が終わったら、日誌を書く。
今日のメニューを書いて、
今日はきつかった。
最後まで頑張れた。
明日も頑張りたい。
と感想を書く。
学校の部活動なら、顧問へ提出することもあるでしょう。
でも、毎日書いているうちに、
そもそも、何のために書いているのだろう。
と思うことはないでしょうか。
練習日誌は、書かなければ成長できないものではありません。
書いてもいいし、書かなくてもいい。
ただ、せっかく書くなら提出するための作業ではなく、自分の競技に使えるものにしたい。
今回は、練習日誌に何を残せば日々の練習を次につなげられるのかを考えます。
「記録する」と「振り返る」は違う
例えば、次のような練習をしたとします。
120m×3
13.58-13.60-13.79
レスト8分
これを書けば、何をしたのかは残ります。
でも、これは主に記録です。
ここに、
今日はきつかった。
と書いても、感想が加わっただけかもしれません。
以前の記事「振り返りは何のためにするのか?」では、振り返りを、経験を捉え直し、そこから得た気づきや学びを次の選択につなげることとして整理しました。
練習日誌も同じです。
今日、何をしたのか。
そこから何が分かったのか。
では、次にどうするのか。
まで考える。
記録したことと、振り返ったことは同じではありません。
練習日誌に書きたい3つのこと
練習日誌を振り返りに使うなら、次の3つに整理すると分かりやすいと思います。
FACT → INSIGHT → NEXT ACTION
① FACT|何をした?何が起きた?
まず、実際に起きたことを残します。
例えば、
120m×3
13.58-13.60-13.79
レスト8分
3本目で、2本目より0.19秒タイムが落ちた。
といった内容です。
タイム、距離、回数、重量、レストなど、あとから確認できる情報を書きます。
必要であれば、
睡眠時間
疲労感
身体の張りや痛み
など、自分の状態を残してもよいでしょう。
競技者のトレーニング反応を把握するうえでは、疲労感やストレス、気分などの主観的な自己報告も、有用な情報になり得ることがシステマティックレビューで示されています。
ただし、何でも記録すればいいわけではありません。
項目が増えすぎて、書くこと自体が負担になったら本末転倒です。
あとから自分が使いたい情報を残す。
それくらいで十分です。
② INSIGHT|そこから何が分かった?
次に、その日の練習から気づいたことを書きます。
例えば、
3本目は、60mを過ぎたあたりから脚を前に運びにくくなった。
1本目と2本目は同じような感覚で走れたが、3本目では後半に力みが出た。
疲労感はあったが、1本目からスピードには乗れていた。
などで、ここには、自分の感覚や解釈が入って構いません。
「きつかった」「楽しかった」「悔しかった」といった感情を書いてもいい。
ただ、
今日もダメだった。
だけでは、次に使える情報があまり残りません。
何が、どうだったのか。
まで一歩具体的にする。
「楽しかった」なら、何が楽しかったのか。
「うまくいかなかった」なら、何がうまくいかなかったのか。
そこまで考えることで、自分や練習について見えてくるものがあります。
③ NEXT ACTION|次にどうする?
最後に、
では、次はどうするのか。
を考えます。
例えば、
次回は、1本目から60m以降の姿勢と力みを確認する。
疲労感が数日続いているので、明日の状態を見て練習強度を判断する。
といった内容です。
ここで、
次はもっと頑張る。
と書くだけでは、実際に何を変えるのかが分かりません。
今日の練習から得た情報を、次の選択へつなげる。
練習日誌の出口を、NEXT ACTIONにすることが重要だと思います。
感想も、自分を知るための情報になる
練習日誌に、
きつかった。
楽しかった。
悔しかった。
と書くこと自体が悪いわけではありません。
それも自分に起きたことだからです。
例えば、
久しぶりにトップスピードで走れて楽しかった。
と書いたとします。
そこから、
なぜ楽しかったのだろう。
と考えると、
自分はスピードを出す練習におもしろさを感じている。
という、自分を知る材料になるかもしれません。
感想で終わらず、そこから何に気づいたのかまで考える。
それだけでも、日誌の意味は変わります。
読み手がいるなら、フィードバックにも使える
学校の部活動では、練習日誌を顧問やコーチが読む場合があります。
そのとき、日誌は自分の振り返りだけでなく、指導者とのコミュニケーションツールにもなります。
例えば、
脚が痛かった。
だけではなく、
60m走の2本目から右ハムストリングに張りを感じた。3本目では少し強くなった。
と書けば、指導者も状況を把握しやすくなります。
2026年に52名のテコンドー競技者を対象として行われた研究では、16週間のリフレクティブ・ジャーナリングに構造化されたフィードバックを加えた群で、日誌のみの群より自己調整と主観的なパフォーマンス評価に大きな改善がみられました。
客観的な競技成績の向上を示した研究ではありませんが、日誌をフィードバックと組み合わせる価値を考える材料にはなります。
誰かが読むのであれば、
何を書けば、自分に必要なフィードバックをもらえるだろう。
という視点を持つこともできます。
「書かされている」日誌でも、使い方は選べる
中には、
毎日、練習日誌を提出しなさい。
と決められている競技者もいるでしょう。
自分から始めたわけではないなら、「書かされている」と感じることもあると思います。
その事実は変えられなくても、
その日誌を何に使うのか。
は自分で考えることができます。
自分の変化を確認するために使う。
数週間後に見返す情報を残す。
コーチからフィードバックをもらうために使う。
義務として始まった日誌でも、自分にとっての意味をつくることはできます。
長く書くより、次に使えるように書く
練習日誌は、たくさん書けばよいわけでもありません。
例えば、
今日は120mを3本走りました。とてもきつかったですが、最後まで頑張ることができました。次の練習も頑張りたいです。
と長く書くより、
3本目で0.19秒タイム低下。60m以降で力みが出た感覚。次回は1本目から後半の姿勢と力みを確認する。
と残した方が、次の練習に使いやすいことがあります。
長く書くことより、次に使えること。
今日、何をしたのか。
そこから何が分かったのか。
だから、次はどうするのか。
FACT → INSIGHT → NEXT ACTION
この3つを意識するだけでも、練習日誌は単なる記録から、日々の経験を次の選択につなげる道具になります。
その練習日誌は、次の練習につながっていますか?