目標は、途中で変えてもいいのか?

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一度決めた目標は、変えてはいけない?

「全国大会に出る」
「自己ベストを更新する」
「100mで10秒台を出す」

目標を決めたときは、本気でそこを目指していた。

でも、競技を続けているうちに、

思っていたより目標が遠い。
怪我をして、計画通りに進めなくなった。
以前ほど、その目標を目指したいと思えなくなった。

そんなこともあります。

それでも、

一度決めた目標だから。
ここで変えたら逃げになる。
最後まで諦めてはいけない。

と、目標に縛られてしまうことがあります。

もちろん、簡単に諦めず、粘り強く取り組むことは大切です。

ただ、一度決めた目標を変えないこと自体が、目的になっていないでしょうか。

目標は、本当に途中で変えてはいけないのでしょうか。

目標を守ることより、目的に近づくこと

以前の記事「目的と目標は何が違うのか?」では、目的と目標を次のように整理しました。

目的とは、「何のために取り組むのか」という問いの先にある、実現したい姿・目指す方向。

目標とは、目的に近づくために設定する具体的な到達点。

この関係で考えると、目標そのものが最終目的ではありません。

例えば、

自分がどこまで速くなれるのか挑戦したい。

という目的があり、

今シーズン、100mで10秒台を出す。

という目標を設定する。

目標は、自分が進みたい方向へ向かうための一つの到達点です。

だとすれば、現在地や状況が変わったときに、その到達点を見直すことがあってもいい。

大切なのは、目標を守ることより、目的に近づくことです。

目標を見直すべき3つのタイミング

では、どんなときに目標を見直せばよいのでしょうか。

少なくとも、次の3つは一度立ち止まって考えるべきタイミングだと思います。

① 現在地が変わったとき

目標を設定したときと、いまの自分は同じではありません。

例えば、自己ベスト11秒20の競技者が、「今シーズン11秒00を目指す」と決めたとします。

ところが、シーズン序盤で10秒台を記録した場合、最初の目標を守り続ける必要はありません。
現在地が変わったのだから、新しい目標を設定してもいいでしょう。

反対に、怪我によって長期間トレーニングできなくなったなら、「11秒00を出す」という目標より、まずは競技へ安全に復帰することを優先する場合もあります。

これは単に「目標を下げた」のではなく、現在地に合わせて到達点を置き直したと考えることができます。

② 目標までの道筋をつなぎ直したいとき

目標が遠く感じるからといって、すぐに諦める必要はありません。

ただ、遠い目標だけを見ていると、今日何をすればよいのか分からなくなることがあります。

例えば、

100mで10秒台を出す。

という長期的な目標があり、現在地は11秒20。
そのとき、

10秒台を諦めて11秒10にする。

という二択で考える必要はありません。
10秒台という目標を残しながら、

まず今シーズンは11秒10を切る。

という中間目標を置くこともできます。

以前の記事「目標は、高ければ高いほどいいのか?」でも書いたように、大きな目標と今日の行動の間をつなぐ目標が必要になることがあります。

目標を見直すとは、必ずしも達成しやすいものへ変えることではありません。

遠くにある目標と、いまの自分との間に道をつくり直すことでもあります。

③ 自分の目指すものが変わったとき

もう一つ大切なのが、

いまも、自分はこの目標を目指したいのか。

という問いです。

目標を立てた当時と、いまの自分が同じとは限りません。

以前は全国大会への出場を一番に考えていた。
でも競技を続ける中で、

自己ベストを追いながら、長く競技を続けたい。

と思うようになるかもしれない。
別の種目に挑戦したくなることも、競技との付き合い方そのものが変わることもあります。
そのとき、

一度決めた目標だから。

という理由だけで、以前の自分が決めた目標に縛られる必要はありません。

いまの自分は、どうしたいのか。

そこへ戻って考えてもいいと思います。

目標を変えることは、諦めることなのか

目標を変えることに抵抗があるのは、

変更する=諦める

という感覚があるからかもしれません。

ただ、目標を変えたという事実だけでは、それが諦めなのかどうかは分かりません。

重要なのは、なぜ変えるのかです。

現在地が変わったから。
怪我や環境の変化があったから。
長期目標へ向かうために、中間地点を設定し直したから。
自分が目指したい方向を考え直したから。

こうした理由があるなら、目標の変更は前へ進むための選択になり得ます。

スポーツに限らない目標調整研究におけるメタ分析では、目標達成が難しくなった場面での「目標から離れること」「別の目標へ関わり直すこと」「目標追求を柔軟に調整すること」が区別され、それぞれの要因や結果との関連が整理されています。
ただし、研究間のばらつきも大きく、エビデンス全体の確実性は低〜中程度と評価されています。そのため、「目標を変えればよい」と単純には結論づけられません。

参考:Riddell et al.「A meta-analytic review and conceptual model of the antecedents and outcomes of goal adjustment in response to striving difficulties」

だから、変えないことが正解でも、変えることが正解でもありません。

苦しくなるたびに、達成しやすい目標へ変えればいいという話でもありません。

続けるのか。
上げるのか。
下げるのか。
別の目標を設定するのか。

目的と現在地を再確認したうえで、自分で選び直すこと。

そこが重要です。

目標は、設定したら終わりではない

目標を決めたあとも、現在地や環境、自分自身の考えは変わります。

だから、ときどき立ち止まって目標を確認してみる。

例えば大会後やシーズンの節目に、次の3つを考えてみます。

いまの自分は、どこにいる?
いまも、この目標を目指したい?
この目標は、自分の目的に近づくために機能している?

問い直した結果、

やっぱり、この目標を目指したい。

と思うなら、そのまま続ければいいでしょう。

反対に、

いまの自分には別の目標が必要だ。

と思うなら、選び直せばいい。

見直すことは、必ずしも変更することではありません。

見直したうえで「変えない」と決めることも、一つの選択です。

目標は、選び直していい

目標は、自分を縛るために設定するものではありません。

自分が目指す方向へ進むために使うものです。

だから、上げてもいいし、下げてもいい。
中間目標を置いてもいいし、別の目標へ変えてもいい。
もちろんそのまま続けてもいい。

ただし、達成しやすい目標へ変え続ければいいわけではありません。

大切なのは、

なぜ、この目標を目指すのか。
いま、自分はどこにいるのか。
そして、いまの自分はどうしたいのか。

そこへ戻って、目標を選び直すことです。

目標を守ることより、目的に近づくこと。

その目標は、いまもあなたを目的に近づけていますか?

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この記事を書いた人

WILLINQ JOURNAL編集部。

スポーツ指導、競技経験、人材育成の実務経験をもとに、スポーツとの向き合い方、Will、目的と手段、学びについて発信しています。

答えを急ぐのではなく、問い、迷い、経験し、振り返る。
その過程で、自分なりのWillを育てていくためのきっかけを届けます。

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